シロアリの事

今回のテーマは “知ってそうで意外と知らない” シロアリの話をしたいと思います。

近年、色々な原因でしろありのリスクが高まってきていると言われています。
被害に遭うと大変なことになるかもしれませんので、しっかりと対策を考えましょう。

シロアリってどんな生きもの?

皆さんシロアリにどのようなイメージをお持ちでしょうか?
『木を食べる』『春に羽蟻がでる』などは良く耳にすると思いますが、詳しくは知られていないと思います。

シロアリは名前に『アリ』とついていますが、実はゴキブリに近い生き物。
そして太古の地球から生き残っている生物です。
そのため、非常に原始的な生き物と言われています。

シロアリ

シロアリ

では、逆にアリとの共通点は無いのでしょうか?
シロアリとアリは見た目も似ていますが、生態を観察するとよく似ている部分があります。
シロアリはアリと同様に群れ(コロニーと呼ばれます)を成し、高い社会性(個別に役割が決まっています)をもっているのです。

コロニーは女王蟻と王蟻を中心に、働き蟻とそれを守る兵蟻、そして次世代の女王蟻・王蟻となるニンフと呼ばれる個体からできています。
種によって違いますが、1つのコロニーで100万匹ほどにまでなります。

育ったニンフは新しいコロニーを作るべく羽蟻となって一斉に飛び立ちます。
シーズン的にはゴールデンウィーク前後で、この時がシロアリ被害に気が付くチャンスです。
羽蟻をよく見て、2対ある羽の長さが同じの場合はしろありの可能性が高いので、専門家に相談しましょう。

シロアリはご存知のように木を食べます。
木を構成する『セルロース』は世界中でもっとも多く存在するたんぱく質でありながら、分解するのが非常に困難で、シロアリはこれを分解して栄養にすることができる貴重な生物です。
ただし、シロアリといえどもセルロースを直接、消化吸収することができません。
実は、シロアリのおなかの中に微生物を飼っていて、それらが分解したものを吸収しています。
ある種では、菌をセルロースに培養して分解させたものを食すそうですよ。

家の大切な柱などに被害を出すことから『害虫』のイメージがつよいシロアリですが、自然界にとっては無くてはならない『益虫』。
森の中で倒れた木などを土に戻す大切な役割を担っています。
また、ある地域では貴重な蛋白源として、食用に供されることもあるそうですよ。

シロアリ被害にあうとどうなるの?

さて、シロアリ被害にあうと家はどうなるのでしょうか?
まず、シロアリは光と乾燥に非常に弱い生き物です。
そのためシロアリは『蟻道』と呼ばれるトンネルを造り、その中を移動します。
これが床下などにあるならば、シロアリが侵入したことなります。

基礎の立ち上がりにできた蟻道

基礎の立ち上がりにできた蟻道

家に侵入できたなら土台や柱などを食べます。
しかし、シロアリの中でも木をかじるのは働き蟻だけに限られます。
女王蟻は、動くことなくコロニー内で卵を産み続けるので、世話係の働き蟻から餌を分けてもらっています。

ところで、木なら何でも食べてしまうのでしょうか?
俗に『ヒノキはシロアリに強い』と言われる方もいらっしゃいます。
もちろんシロアリにだって好き嫌いはありますので、ヒノキのような樹種は忌避する傾向にあります。
しかし、『総ヒノキ造りの家』のように、ヒノキしかない環境であればやはり食べてしまいますので安心はできません。
逆に近年、柱などで使われている『ホワイトウッド(WW)』という樹種は、シロアリに好まれることが分かっていますので注意が必要です。

さて、シロアリに食べられてしまった柱は土台はどうなるでしょうか?
当然のことながら柱などの構造材がボロボロになり、脆くなってきます。
これが、ひどくなると家の耐久性や耐震性などに大きな影響を及ぼします。

シロアリ被害にあった木材

シロアリ被害にあった木材

地震の被害にあった家を報道などでご覧になられたときに、1階部分がぺちゃんこで、2階はそのまま綺麗に残っている写真をご覧になった方も多いはず。
そのようになる原因はいくつかありますが、1階の土台や柱がシロアリ被害にあっていたケースも多く報告されています。

シロアリ対策は?

さて、色々書いてきましたが、シロアリって実際にどの程度の被害を出しているのでしょうか?
日本しろあり対策協会が全国で28000棟あまりを調査した結果、以前はシロアリが居ないと言われていた北海道も含めて全国に被害報告があり、築20年以上の建物では40都府県で被害割合が40%以上となっていたそうです。
もはや安全な地域はないと言っていい状態ですので、しっかりとした対策が必要です。

まずは、侵入対策。
多くのシロアリは土壌から侵入しますから、このルートに蟻道が発生している可能性が高いです。
基礎などの見やすいところにあれば、楽なのですが現実は結構難しいようです。
なんせ相手は小さく、隙間わずか0.2mmで侵入されてしまいます。
『べた基礎ならば大丈夫』という人も居ますが、0.2mmという隙間はべた基礎であっても生じる可能性がありますので完全とは言えません。
むしろ、べた基礎になったことでシロアリにとって天敵である虫が少ないことや、床下が暖かくなったことでリスクは増えたともいわれています。

もちろん、使用する材料におこなう薬剤処理も大切です。
戸建て住宅にお住まいでない方はあまりご存じないかもしれませんが、一般的に使用されている防蟻処理の有効期限は5年。
5年たったら床下に潜って再処理が必要になりますが、最近の気密の高い家では安全性の低い薬品は使いたくありません。
いっそのこと、再処理が必要ない防蟻処理がより安心です。

最近おすすめはACQという安全性の高い薬品を加圧注入する方法。
加圧注入とは薬剤を圧力で材料に注入させる方法。
表面に薬剤を塗布するよりも多くの薬剤を使用するため、より長い効果が期待できます。
くわしくはこちらをご覧ください。

最後になりましたが適切な対処法としては、定期的な点検に勝るものはありません。
いくら良い防蟻処理を構造材に使ったとしても、床材や窓枠など木材をつかっている箇所はたくさんあります。
構造材に防蟻処理をするのは『安全性』を長持ちさせるためであり、それをもって被害リスクがゼロになる訳ではありません。
定期的な床下点検はもちろん、基礎の外周に植木鉢などの視線を遮るものを置かず日ごろから目を配っておく事も大切です。
ちなみに、昔は浴室などの水周りでの被害が多かったそうですが、最近は玄関周りの被害が多くなっているそうです。

シロアリ対策は、もしもの時に家族の命を守る大切な役割がありますので、しっかりと取り組みましょうね。

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