パリ協定ってなに?

ちょっとマニアックな省エネ住宅業界のトレンドをお伝えしちゃう『低燃費余話』
今回のテーマはパリ協定についてです。
この記事を書いている2016年11月4日、いよいよパリ協定が発効されました。

それに関連するニュースも多く流れていますが、今後の省エネ住宅の行く末を考えるためにもココは外せないところ。
そこで、今回はざっとおさらいをしてしまおうと思います。
題して『今さら恥ずかしくて人に聞けない、パリ協定と省エネ住宅』

1.パリ協定ってなに?

まずはパリ協定に至るまでの流れをおさらいしておきましょう。

時は1992年。
急激な経済発展による環境破壊と、先進国と発展途上国の環境格差についての問題意識が世界で高まっていました。
そこで、ブラジルのリオで『環境と開発に関する国際連合会議』 いわゆる『地球サミット』が開かれ、そこで発展や開発などと環境の問題について国際的な枠組みを作ることが宣言されました。
これを基に1994年に『気候変動に関する国際連合枠組条約』が発行され、条約の最高決定機関である締結国会議(COP)が毎年1回行われています。

会議の主なテーマは、『地球温暖化防止』
それゆえに温室効果ガス、特にCO2排出量の削減についての議論か重ねられています。

この条約のポイントは先進国と途上国に課せられた責任が異なり、先進国ほどより厳しく環境への配慮が求められることです。
なぜなら、先進国ほど経済活動が環境にあたえる影響が大きいから。
そして同時に発展途上国に大きな責任を負わすことで経済成長を妨げないようにとの配慮がありました。
しかし、これが条約の有効性を妨げる大きな要因となります。

1997年に京都で行われたCOP3で、初めて温室効果ガスの排出量削減が義務付けられましたが(京都議定書)、最大の経済国家であり、最大のCO2排出国であったアメリカは、経済の国際競争力が損なわれることを理由に批准することを拒否。
また、当時急激な経済発展をしていた中国は、発展途上国(あんなに経済成長しているのに!)であることを理由に参加せず。
結果として、数値目標を課せられた全ての国の総CO2排出量は、世界の総量のわずか25%に留まり、条約の有効性に疑問符がつきました。

さらには、2020年以降の枠組みを定めようとしたCOP15では、一部先進国より『発展途上国にも義務を課すべき』との意見が出て合意にすら至ることができませんでした。
まさにグダグダ状態で、世界的な合意は難しいという空気が流れていました。

そうした流れの中、世界がラストチャンスとして開催したCOP21(2015年・パリ)にて、アメリカと中国が温暖化対策を打ち出し、やっと世界が足並みを揃えることとなりました。
議長国であるフランスの努力により、京都議定書以来18年ぶりに拘束力をもつ国際合意がなされました。
このときに採択されたのが、パリ協定になります。

2.パリ協定のどこが凄い?

では、具体的な内容について確認しましょう。

まず、産業革命前を基準に地球の平均気温上昇を2.0度未満に抑え、さらに1.5度に留めることを努力目標としました。 従来からの目標であった2.0度より踏み込んだ目標を掲げたのです。
なぜ1.5度なのかといえば、島しょ国を中心に海面上昇による国土消滅リスクへの配慮から。
それを実現させるためには出来るだけ早いタイミングでCO2排出量を現象に転じる必要があります。
なお現時点ですでに平均気温は0.8度上昇しており(産業革命前より)、事態はまさに待ったなしの状態です。

そのために、途上国も含めて温室効果ガス排出量の削減目標を掲げ、それを5年ごとに見直してより高い目標へと改善することとしました。
また、途上国が目標を掲げる見返りとして、先進国は途上国へ資金等の援助をすることを義務付けました。

また、今世紀後半にはCO2排出量を実質的にゼロにすることが目標となっています。

3.パリ協定の課題は?

歴史的ともいえるパリ協定がいよいよ船出しましたが、課題がないわけではありません。

まず、各国が掲げている削減目標が不十分であることが指摘されています。
現在の目標を達成しても、気温の上昇は3.0度に至ると言われており、5年ごとの見直しでより高い目標への改善が不可欠となっています。

また、各国が掲げた目標達は義務ではなく、罰則もないので本当に実施されるのかも不透明です。
さらに、先進国から発展途上国への支援が実際に行われるかも不透明です。

一方で、目標を達成する一つの手段が色々検討されています。

一番注目されているのが、CO2を排出するモノやサービスには『カーボンプライジング(炭素税)』を掛けることが、世界中で検討されています。

また、先進国が発展途上国を支援してCO2排出量を削減した場合、支援した先進国の削減量としてカウントする仕組みや、森林保護した際の実績をCO2排出量として他国に販売できる仕組みなどが検討されています。

総じて、CO2を削減すると儲かりCO2を排出するとコストが掛かるような仕組みを作っていく流れになっています。

4.私たちが考えることは?

パリ協定は、採択されてからわずか1年で発効され(京都議定書は発行まで7年)、すでに世界90か国以上が批准したとされます。
日本はといえば2016年11月4日現在でも批准できず、おおかたの予想通り『順調に乗り遅れて』おります。
もうすぐCOP22が開催され、そこでは具体的なルールについて協議が行われますが、批准しおくれた日本は『参加はできるが意思決定に関与できない』そうで、正真正銘の環境後進国となりました。
今後、どう巻き返すかが大きな課題ですね。

というのも、今後は世界的な『省エネブーム』が発生するからです。
一説には中国がパリ協定に批准した理由は『省エネがビジネスになると踏んだから』ともいわれており、実際に低炭素関連の産業は発展傾向にあります。
以外に思われるかもしれませんが、中国が2015年に再生可能エネルギーに投資した額は900億ドル。
実に全世界の投資額の約1/3に及び、堂々の1位となります。
ちなみに日本は300億ドルだそうです。
『環境対策が経済発展の足を引っ張る』という認識は、すでに過去のものになったと言っていいでしょう。

そして、気を付けなければならないのは『炭素税』
化石燃料を使う『コト』や『モノ』に税金が掛けられるようになると、一気に家計を圧迫しかねません。
『省エネ』は家計を守るので、より安心と言えると思います。

実は、京都議定書からのエネルギー消費量を部門別に集計すると、家庭部門と業務部門(店舗やオフィス)で右肩上がりの状態が続いていました。
つまり、建物にたいする省エネが野放しだったのです。
国がCO2排出量を削減するにあたって、この部門に手が付けられるのはまず間違いないでしょう。
これからの住宅は『創エネ』ではなく『省エネ』注目されそうです。

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